ニューハーフとの出会い

僕は小学生の頃までは鹿児島で暮らしていた。陽気な南国でのびのびと過ごしていた僕には、西郷くんと言う友達がいた。鹿児島と言えば西郷隆盛である。西郷くんは血縁関係があるわけではなかったが、同じ苗字と言うだけで尊敬の念を集めていた。
もっとも、本人は恰幅の好い西郷隆盛とは似ても似つかぬ女の子のようなもやしっ子であり、僕は彼を弟のようにかわいがっていた。
ある時「西郷隆盛像を見たい」と言う西郷くんと一緒に市立美術館まで二人で出かけたことがある。はぐれてはいけないので手をつないでいた僕たちは、傍から見れば兄弟のように見えただろう。
「西郷どんみたいになりたいな」と、西郷くんはしみじみと言っていた。同じ苗字と言うだけで歴史上の偉人と比較されることのギャップに彼は苦しんでいたが、同時に彼は西郷隆盛を理想の男性像に据えることによって、ひ弱である自分のコンプレックスを打破しようとしていたのだ。
その後、僕は親の転勤のために、東京へと引っ越した。今のようにメールなどの連絡手段がない時代である。西郷くんとはそれっきりだった。
あれから20年が経った。今の僕はマッチングアプリで出会った女の子と上野の西郷隆盛像を目印に待ち合わせしているような男となっている。なんとなく、西郷隆盛像を通して、西郷くんに見られているような気持ちになりながら。
ニューハーフ
ふと郷愁が沸いた僕は、一度鹿児島に行ってみようと思った。音信不通の西郷くんともひょっとしたら出会えるかも?と言う淡い期待があった。
20年が経っても、鹿児島の西郷隆盛像は時の移ろいなど意に介さぬように、当時と変わらぬ姿で堂々と立っていた。そして、そんな像を見上げている一人の女性がいた・・・いや、正確に言えば女装したおっさんだ。恰幅の好い西郷隆盛が女装して現代によみがえったようなそんな印象だった。西郷隆盛像の前でニューハーフとの出会いを果たすとは思わなかった。
「子供のころ、手をつないでここに連れてきてくれた親友がいたんですよ」
そのニューハーフはそんなことを言っていた。
西郷隆盛に憧れた少年は、西郷隆盛のような体形に育ち更にはニューハーフとなった。初恋の男の子といつか再会して受け入れてもらえるために。
20年越しに再会したこのニューハーフとの出会いは、僕に何をもたらすのだろう?きばってたもうせ!
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